今日も私は君を待つ。
帰ってくることのない、君を。
・・・待ちぼうけ・・・
「あ、もうこんな時間だ。ごめん、私帰るね。」
久々に高校時代の友人と出かけた。
話は尽きず、まだ話したりない気もするけれど、時計を見ると、もうすでに20時を回っていたので、私は帰ることにした。
「えー?まだ8時じゃない。」
そう言って友人は不満を漏らす。
そりゃそうだろう。
私達はすでに20代も半ばで、お互い結婚もしていないのだから20時に帰宅なんて早すぎる。
分かっているのだけれど。
「ごめんね。また遊ぼう。」
引き止めようとする友人ににこりと笑顔を向け、自分の分の料金をテーブルの上に置いて、私は店を出た。
外に出ると、冷たい風が頬を撫でた。
空を見上げると、星がキレイだった。
もうすっかり秋だなあ・・・
ぼんやりとそんなことを考えながら、家までの道を歩く。
そういえば、あの人に出逢ったのも、秋だった。
笑顔が可愛くって、一目惚れしたんだったっけ。
それから仲良くなって、二人ででかけるようになって、付き合うようになって。
幸せだったな。楽しかった。
でも、すぐに終わっちゃったな。
そうだ。お別れしたのも秋だったんだ。
いっぱい泣いたっけ。
好きで好きでどうしようもなかったんだよなあ・・・
それは今でも変わらないんだ。
誰と付き合っても、この心の隙間は埋められないんだ。
今でもあの人が私の心の中にいる・・・
あの人との約束だった「21時までには家に帰ること」
律儀に守ってる自分が嫌になっちゃう。
あの人はひとつだって、私との約束守ってくれなかったのに。
「ずっと一緒だよ」
「結婚しよう」
「幸せにするからね」
全部全部守ってくれなかったのに。
守れない約束ならしないでほしかったよ、バカ。
ふたりで暮らした部屋。
思い出のつまった部屋。
私は今でもここで待ってるんだよ。
あなたが「ただいま」って帰ってくる気がして。
そんなわけないのにね。
あなたはもういないのにね。
どんなに手を伸ばしたって届かないところへ行ってしまったあなた・・・
それでも私は待つよ。
だからあなたも待っていて。
遠い遠い空で待っていて。
いつかまた会えるその日まで待っていて。